カンボジア経済は高度にドル化されている

オフショア投資

カンボジアの非居住者に対する銀行口座の今後の動向について憶測が飛び交っており考察も含めた見解を述べたいと思う。そもそも大前提としては海外での口座を開設するということ自体にリスクが伴うため私の見解についての判断は自己判断でお願いする。

カンボジアは経済開発協力機構(OECD)のフォーラムに参加はしたが共通報告基準(CRS)を導入していない。CRSとは非居住者が保有する金融口座情報を自動的に交換する制度である。

共通報告基準(CRS)概要 引用

外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、OECDにおいて、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました。この基準に基づき、各国の税務当局は、自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。

平成27年度税制改正により、平成29年1月1日以後、新たに金融機関等に口座開設等を行う者等は、金融機関等へ居住地国名等を記載した届出書の提出が必要となります。

国内に所在する金融機関等は、平成30年以後、毎年4月30日までに特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告し、報告された金融口座情報は、租税条約等の情報交換規定に基づき、各国税務当局と自動的に交換されることとなります。

日本での対策

このように共通報告基準(CRS)を導入した国同士であれば預金状況などの共有が行われるが上に述べたようにカンボジアはCRSを導入しておらず日本の税務当局でカンボジアの銀行にある日本人の口座資金を把握することはできない。マネーロンダリング対策として邦銀から口座を介さずに支店窓口から海外に現金を送るサービスに規制をかけるぐらいしか対策はできない状況である。

カンボジアの銀行の今後

つい先日、カンボジアの銀行にある外国人口座の取り締まりに移行するといわれている、またそれに伴い口座凍結の恐れがあるのではという質問があった。非居住者に対する口座の規制をするのではないかということである。しかしながら、カンボジア経済は高度にドル化しており現金の80%以上はドル、預金の94%は外貨建て(主にドル建て)と国内取引の多くはドル建てで行われている状況である。このように現地通貨リエルの役割は小さくドルの投資がないとカンボジアの経済が止まるどころか破綻してしまう。そのため非居住者がカンボジアで投資をしにくくするような政策はとらない、とれないというのが現地の実際の状況である。実際問題としてカンボジアでは非居住者に対する口座の規制が行われる可能性は少ない。

口座開設サポート

本来カンボジアでは既に就労ビザを持っているか、居住者ではない限り口座開設ができない。もちろん私が開設サポートを行っているアクレダ銀行も簡単に口座を開設できる銀行ではない。しかしながら現地提携先のサポートのおかげで口座開設が可能である。しかも居住者と同じ正式な銀行口座として開設が可能である。非居住者の口座ではないので万が一、上記取り締まりがあった場合でも規制の対象にはならないであろう。